よけ堀りの作業
農家の冬の仕事~よけほり~
今年の冬はいつもの年よりだいぶ雪が少ない感じです。
晴れか曇りの日が続くと田んぼが乾くので、機械の作業がしやすくなります。
さて、農家って冬は何をしているの!?
よく皆さんから聞かれる農家あるあるの話題です。
当農場では牛を飼っておりますので、朝夕必ず牛さんのお世話が日課となっております。
が、、、
冬だからこそする必要がある仕事、また、田植をしてしまったら稲刈りまでできない仕事をこの冬にしたい仕事があります。
それがまずは、よけ堀りです。
よけ掘りって何!?
当農場の地域は、また、当農場が作付けしている田んぼは「強粘土質」の土壌です。
聞けばその昔、瓦(かわら)屋さんがその土をとってきて、瓦を焼いたそうです。
この強い粘土が丈夫で良い瓦ができるのです。
この粘土が強ければ強いほど、農家泣かせです。(笑)
「えーっ!? 粘土質だとおいしいお米がとれるからいいんじゃない!?」
はい、この点についてはとてもありがたいことです。
しかし、粘土質だと水持ちの良さが仇となります。
乾かないうちに農作業が始まると、ちょっとの水分で軽トラは滑って出てこられない、田おこしはロータリーの中に土が詰まって耕せない、そして、機械の轍(わだち)ができて水がなお溜まり、度重なる作業により田んぼが少しずつ深くなってしまうなど、大変やっかいな土でもあります。
深くなってしまうと余計に乾きにくくなり、どうにも厄介です。
そこで、田んぼの隅や畦ぎわを掘っておき、田んぼに入ろうとする水をその溝でうけて排水できるようにします。
ただ、田んぼにはあらかじめ地面の中に暗渠(あんきょ)が設置してあります。
暗渠とは、地質の関係で水はけが悪い所、大きな土手などで水が入りやすい田んぼに地中の排水設備のことです。
しかし、様々な理由でどうしても水が抜けなくなってしまうことがよくあります。
ですから、なるべく直接水が入ってくるような所ほどあらかじめよけを掘って一時的にでも入らないようにする必要があります。
よけを掘ってみる
では、掘っていきましょう。
バックホウに細いバケットを取り付け、あまり幅が広くならない様に30センチ程度の深さで掘ります。
あまり深く掘ってしまうと、もともと設置してある暗渠(あんきょ)を壊してしまうので、あくまで田面より低くなるくらいの深さで掘っていきます。
掘った土は溝の際にブロックを並べる感じでおいておきます。
そうすることで、代かきをするなど水が入った状態でも溝に泥が流れて埋まってしまうことを防ぐ働きをしてくれます。
よけ掘りの効果
掘ってしばらくした同じ田んぼですが、反対からな写真になります。(うっかりアングルを間違えたすみません、、、)
一度よけを掘ってしまえば、急速に田んぼが乾いてきます。
というのは、掘ったよけが入ってくる水を貯めるので、田んぼの水分が増えることはありません。
そして、太陽の光で暖められた地面に風が吹き、表面の水分が蒸発すると細かなヒビが入ります。
このヒビが入ることが重要です。
そのヒビの隙間に再び太陽の光で暖められ、風が吹きさらに水分が飛んでいくことでもっと深いヒビが入ります。
ヒビが入り始めることで、水道(みずみち)となって溝堀したところに集まってくるのでたとえ雨が降っても乾きやすくなります。
また、田んぼが乾いて全体的に深いヒビが入ることで、元々設置している暗渠に水がしみこむので田んぼ全体に効果があります。
乾いた田んぼは作業性を良くするとともに、稲にも大変良いことがあります。
稲も根っこから空気を吸いますので、田んぼが乾きやすいと稲もよく育ちます。(とても簡単に書いていますが、、、)
よけ堀りは田んぼの基礎を整える大切な作業ですので、急ピッチですすめてまいります。